なかなか長野県南部から愛知県や静岡県に貫ける道路のイメージはつかみにくい。近年三遠南信道として自動車専用道路が着工になっているが遅々として進まない。
同じネーミングで
三遠南信アート展という三地区(
三河:豊橋、
遠州:浜松、
南信:飯田)の選抜作家展が開催されている。その浜松展の会場が天竜地区にある秋野不矩美術館だ。とてもユニークな建物で建築家の友人から一度は見に行くべき建物と聞いていたので、たのしみにしていた。
さて、道順だが複雑だ。地図を見ると国道152号線でまっすぐだ。しかしこの国道は昔から県境でつながっていない事で有名だ。国道なのに!少し道のりがあるが151号線で佐久間ダムを回りこむイメージで行こうと決めた。一日かけてゆっくりいってこよう。
せっかくだからと家族を誘うが都合が悪いという。 平面領域展のメンバー原さんと行くことになる。(原さん すみません。この旅は原さんなくしては成立しませんでした。)
素晴らしい美術館だ。壁が厚く絵を掛けると壁が喜ぶ感じだ。ただ壁のほうが強かったり・・・
われわれの展示している市民ギャラリーは残念ながらその壁ではなかった。あんな常設展のような空間で展示してみたかったな、と思う。
夕方帰路に着く。近くにある秋葉神社をお参りして行こうという流れになり(まだゆったりとした気持ちであった。)車は参道に入った。山の頂上の神社は立派でなんとも神々しい雰囲気だったが遠かった。国道152に戻るともう薄暗くなっていた。
旅の終わりをイメージしながら車をとばしたが、神様というのは ついでにお参りするものではない。
しっかりとバチが当たった。152号線から佐久間方面に入る交差点をそのまま進み気がつけばもう県境近くまで来ていた。152は青崩れ峠が通れない。真っ暗な山道の兵越峠越えということになる。『珍道中だね』と、
二人は苦笑いだった。
それから15分ほどして、ほとんどない対向車と避け合いになった。 『狭い道なのにやだなー・・』その瞬間私の車が側溝に脱輪した。もう苦笑さえ出なかった。携帯の明かり頼りの暗闇で泥まみれになり車を溝から出したのはそれから一時間はたっただろうか。
山道で鹿の眼の光を見ながら今度は本当に家路についた。夜10時を回っていた。