画壇って何だろう?
花壇 ・ 雛壇 ・ 仏壇・・・
年老いた絵描きたちが雛壇に座っている文化勲章授与式的イメージで、ふるいな。
田中一村について 思い違いをしていたように感じて もう一度画集を見ている。“ゴーギャンのように南の島にわたり 絵を描いたが認められたのは死後で悲運の画家。”という程度の知識と『アダンの木』というわりと描写的な絵の印象だけだったが、なかなか示唆に富んでいる画家で驚いている。
まず勘違いのいくつか
1)デカタンの画家ではない。(酒は飲まなかった。また行き当たりばったりで奄美に行ったのではなく 千葉の家を売るなどして周到に計画していた。わたしも絹本に描いてみてわかったが 綿密な写生や感情を抑える力がないと絹の上に絵はかけない。油絵とはちがう)
2)描写的な絵もあるが南の自然の不思議さおもしろさが独特な世界を作っている。
3)貧困や孤独を抱えての死であったが決して不幸な死ではなかった。晩年は自分の作品に対する確かな自信が窺え、奄美に行く前の中央画壇に対する憎しみのような感情は超えていた。
絵描きは絵の評価にとても敏感だ。でも評価というものは 今やさまざまだ。昔のように偉い先生たちが決めるものじゃあない。偉い先生たちに評価を任せちゃあ 画壇とやらが復活するだけだ。プチ評論家があちこちでいろいろなことを言えばいい。そしてちょっと聞いていいとこ取りすればいいのだ。
大事なのは 自分の絵に自信を持って描くこと。田中一村が奄美で晩年描いたように。