2017年5月26日金曜日

草間彌生展

あわただしく過ごすうちに とうとう見逃してしまった。どうも生来のつむじ曲がりが評判になりすぎた展覧会を斜に捉えすぎていたようで反省している。実は草間ファンなのである。
ニューヨーク時代のソフトスカルプチャーやドットの作品は若い頃から「いいな」と思っていた。浪人時代 鎌倉の古本屋で60年代の美術手帳をいっぱい買ってそこで彼女に出合った。その頃の作品はまだ、今頃の作品で鑑賞できる楽しさのようなものは感じなかったけど 心にぐっと来た。ミシンで夜中 例の突起物を縫っていたという記事だったかなー。(白黒の小さな写真だったから余計にドキュメンタリックで辛口な印象であった。)
インタビューなどで堂々と自分を「前衛芸術家」と呼んでいて なんか気持ちいいな。
彼女の手記のようなものが朝日新聞に十回ほど掲載されていて、興味深く読ませてもらった。彼女はご存知のように若くから統合失調症のような病に悩まされていた。それに立ち向かうことと、”社会性”=日本的には普通であること への無限のプレッシャーと戦い続けていたと思う。
ニューヨークに行くことで少なくとも日本的な社会性からの解放はあっただろうな。それから 実に素直な人だから 周りのすばらしい人たちから「前衛芸術家」なんだから社会性なんかいらないよ、と言ってもらえたのじゃないかな。
でもでも、疲れて果てて73年には日本に戻ってきているようです。(このころどんな活動していたのか興味がある・・・)
80年代のバブルの頃は 長野県駒ケ根の美術館で作品をたくさん集めていたので、私は後によく見に行きました。「社会のことなんか関係ないよ!」といった印象がなんとも小気味よかったな。*芸術は自分を守るもの。*やっぱり一生かけて戦っていたテーマは 「前衛芸術家」にふさわしく説得力がある。この頃の作品の楽しさは 若い頃の魂の叫びが根底にあるから フワフワしてないんだろうな。しっかりと私たち伝わる。
ああ、展覧会行きたかった。



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