2011年2月24日木曜日

隻手の音

このところ、新聞等に取材を受けたが、上手く答えられなくてすっきりしなかった。それは、なぜ、土を使って描くのか? そして そもそもなぜ壁の絵なのか?

今もしっかりとした答えがあるわけでもないが、一昨日たまたまテレビで白隠の番組を見て気が付いた。『隻手の音を聞け』という言葉が出てきたのだ。
両手があって はじめて手をたたくことができる。片手では手はたたくことはできない。では、手をたたく気持ちが起きないのか?   否。
わたしは二十歳過ぎころから 油絵の具が 描け過ぎる と言う感じで厭になった気がした。絵の具の能力が自分の気持ちよりいつも上で 自分がどう描きたいのかわからなくなってしまう、という感じがしたのだ。
・・・もっと濁っていて、中間色で、質感のある感じ・・・
私にとって 最初の隻手の音は 土を絵の具に混ぜることだったように思える。
そして今も その聞こえるかどうかわからない響に耳を澄ますのだ。

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