2012年7月7日土曜日

arte povera

秋に銀座の画廊るたんで個展を計画中なのだがそのためのパンフレットの原稿がブルガリアから届いた。レッセドラ画廊のギオルギ氏からのものだ。彼が数年前の来日の折 治部坂のミュー自然館で私の個展を見て感動した事を綴ってくれた。1960年代後半にイタリアで提唱され一つのムーブメントとなったArte Poveraの流れとして私の絵を捉えてくれたのだ。 強烈な色彩の絵の具を使って作り上げようとする表現に不自然さや違和感があったわたしには土を使って絵を描くことはさしてアヴァンギャルドなことではなく 自然な成り行きであった。そのあたりの展開はイタリアのアカデミア時代のことであったので自然とアルテポーヴェラの考え方が体に染み込んでいったのかもしれない。事実特別講師としてミケランジェロピストレット、エンリコカステリーニ、ルチャーノファーブロらが来ていたことを思い出す。また友人ヴィートとの二人展で刈ったばかりの草をキャンバスに詰め込んだ彼の作品がわたしにとって大きなショックだったことは以前このブログに書いた。
アルテポーヴェラは日本ではミニマムアートとしての捉え方の方が近いかもしれない。その考えは禅にも通じるところがあるとわたしは考えている。たとえば 茶人が 客を接待するため粗末な小屋に田の泥を塗って壁とし 茶を点てたという。そこにはものに拘らない本質的な一期一会があった。
そんな今では少しロマンチックな考えが私を捉えていて 赤土に入れ込んでいたのだ。ここらあたりの考えが全く会ったこともない異国の紳士に 私の絵を通じて伝わったということは しかも治部坂という日本の奥山の中で 奇跡としか言いようがない!アートは通じるのだ。
昨年暮れブルガリアを訪れ初めて会ったギオルギ氏は旧知の友のようだった。

0 件のコメント:

コメントを投稿