若いころ流行りで読んだ本に『赤頭巾ちゃん気をつけてね』があった。思い出すだけで首をすくめてしまうことがある。その小説が映画化された後 高校のクラスマッチでネックに赤いラインのはいった白いTシャツを着て やったことのないテニスにわたしは出たのである。数人の女子もそれ風のテニスの格好だった。(さすがにミニのスコートではなかったが)彼女らの姿を見ただけで嗚呼!と自分を恥じた。当時は反体制の風潮が強く この軟派な趣向は友との話題にすら乗らない恥ずかしい事だった。豊かさとか都会性とかへ一人憧れていたのだった。
こんなミーハーな私だったから 前述の山尾三省のような消費社会に反旗を翻し厳しい暮らしに入っていく覚悟はもうとうなかった。私の地区の家はほとんど質素な零細農家で、高校卒業後東京の大学にはそうそう簡単に行けなかったから 豊かな都会の青年のナイーブさに密かに憧れをいだいていたのだ。田舎のナイーブな少年はその後 現実を知ることとなった。若気の至りだった。
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