昨年の秋以降 展覧会が一段落すると急にやる気がなくなってしまった。このままじゃーまずいなと思いながらもなかなか心の中は動かず、ずるずると正月休みに入ってしまった。
そこで久々に親戚の子供にあった。・・否、子供では最早ない25歳の青年であったが、私の中では悩めるハイティーンであった。
10年ほど前、中学生であった彼は同級生からのいじめにあい、そのまま引きこもりになってしまったのだ。ただただ漫画やゲームに明け暮れ悶々と部屋に閉じこもっていた。親も何とか学校に行かせようとしたがむなしく日々が流れていったようだ。相談を受けたのだが私とて為すすべはなかった。彼の中は全くと言っていいほど意欲がゼロであった。自分の立ち位置を意識できない若しくはしない状態だったのだ。・・・何年かして(その間 高校受験の失敗やらいろいろあっが、) 彼は美容師になる学校に行くと突然言い出し そしてやっと家を出た。・・・・
それから3年程して 彼に会ったが、両手はひび割れだらけで赤く腫れ何とも痛ましかった。思わず「大丈夫なのか?」と問うと 答えは「今 自分を失うわけにはいかない!」だった。
今年会った彼は 自分の店を出せるように頑張っていると自信いっぱいで話してくれた。あの頃の自信のなさから考えるとまるで別人で 近くの人さえ威圧するような意識の高さだ。 やる気がなくダラダラしていた私は全く恥ずかしい大人であった。
思うに 人は弱い人間と強い人間に別れるのではなくて 弱い時と強い時があるのではないだろうか。弱い時は静かに自然に抱かれてゆっくり暮らすのがいいと思う。私は二十歳頃の挫折真っただ中の日々を思い出した。確かあの頃も田舎に帰って近くの里山を歩いたり、山仕事をしたりした。誰もいない、都会のルールもこの長閑さには入り込めない、そんな安心感が私は好きだったのだ。
そして 今年も私は、裏山に出かけて恒例のストーブの薪のために木こりのまねごとをするのだ。私の誇りは田舎人なのだ。
林さん、あけましておめでとうございます。
返信削除今年もよろしくお願いします。「今年のやる気」を感じさせてくれる文章ですね。楽しみにしています。
西尾
西尾君、昨年は大変お世話様でした。今年も何卒よろしくお願い申し上げます。
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