ラカンドンの村に着くと花藤氏はラカンドン族の衣装になった。ちょっと見 日本人とは思えない。過去にここでマリオたちと生活を共にしたらしい。道理でマリオのことを息子同然だと言っていたし、彼の家族も花藤氏のことを親戚のおじさんのように接している。深いつながりを感じる。
さて、彼はメキシコに渡ってからずーっと先住民の暮らしに惹かれそれをテーマに50年描いてきた。ここ15年くらいはサンクリストバルに移りより先住民と近くに暮らしその追求を深めている。それは理解者の広がりにもつながり今ではメキシコで名の通った作家だ。
その成功は多くの苦労のうえに咲いた花だと彼も語っていたが、彼の長男タロウ氏も異口同音であった。情熱と夢で突っ走った時代から50年、そこには芸術家一家の苦節があるのだ。
その成功のおかげで私などもこうしてメキシコの地で温かい歓迎を受けて 個展をすることができる。
写真は花藤氏の大作で 先住民の伝統舞踏の絵で征服者スペイン兵の行進だ。サングラスをかけて踊るのは地の顔を隠すためで、そこには被征服者の屈折した反抗の心が隠されている。
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