2017年2月7日火曜日

久しぶりの墓参

以前にも書いたことがあるが イタリア時代の絵の友人でしばらく前に亡くなった奴がいる。何と表現していいのか・・とにかく戦うことの嫌いな彼だった。だからだろうか彼はとても周りから好かれていたし 私もその一人だった。不思議なくらい人とは競わないから、最初会ったころは「どうやって生きていくんだろう」と不思議でならなかった。
ギター好きで、酒好きで、お人好し、彼のペルージアのアパートはいつも人でにぎやかだった。(日本人ばかりで 彼はなかなかイタリア語が上手くならなかった。)
やがて仕送りが終わり 日本に戻ってきた彼は だんだん悲しい運命に引き寄せられていった。夢のようなイタリアでの暮らしから 日本の厳しい現実の暮らしへの変換は 競う心を持ちたがらない彼には 苦しみを募らせずにはいられなかった。酒に癒しを求めた。写真はそのころ描いた彼の絵、心の痛みが伝わる・・・
私は飯田に住み、彼は佐倉だったので そう頻繁には会えなかったが よく日曜の夜 遅い時間に電話がかかってきたものだ。「また飲もう。」と言って切ったが長い電話はいつも酔っていたのであろう。もう一歩がんばれと周りは言ったが 最後は肝硬変で逝ってしまった。
確かに「弱い」と一言で言ってしまえばそれまでだが 我々日本の社会がだんだん人間を狭量にしていることにも気づき 手を打つべきだ。引きこもりや自殺は寛容さが社会にないからだ。一つの価値観で人を篩いにかけ ある意味の差別をしているではないか・・。
墓石を前に彼の葬式のことを思い出した。家族は密葬にする予定であったが 大変な数(20~30人)の友人が通夜から押しかけ、あげく家に容れきれなくなった。しかたなく彼の行きつけの飲み屋さんに行き 朝まで飲み、彼を偲んだのだった。
世には立派な葬式がたくさんあるだろうが あんな心のこもった葬式はほかになかったなと思い出し、ある意味幸せな人生だったのかもしれないと 今は言える。
墓石には平成14年1月16日没とあった。そうかもう15年なのか・・・合掌



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