2010年4月6日火曜日

名刺を渡せないッ。


春のうららか気分で私たちは出かけた。このところの寒さで桜の開花は関西も伊那谷も足並みがそろってしまったのか 行く先々が咲いていて気分がいい。

今年の初め関西に住む知り合いの医者が開業15周年のパーティーを開くから来てくれとお誘いを受けていたのだ。もともとは妻の学生時代の友人がその先生の奥さんということで、私の個展にも何度か来て頂いている。お祝いの気持ちに新しい人脈開拓の野心も手伝っていくことを決めた。妻も娘も服を新調したようだった。

さて会が始まると 医学博士だの 教授だのそうそうたる方々の祝辞が始まった。確かテレビにも出たことのある医学博士もいた。私は気おくれしてきた。もう来たことさえ後悔し始めた。関西の私立某有名進学校の校長、OBも楽しそうに挨拶していた。あの先生はこの学校の出身だったのか。わたしは、たくさんポケットにいれた名刺を指で感じながら、せめて一枚でも名刺交換しようと半ば悲痛な気持ちになっていた。

乾杯がおわりアルコールが入り始めると もう私は、名刺交換に出て行く勇気はなくなっていた。赤ワインはポリフェノールがいいんです、とか訳のわからぬことをいいながら近くの方と杯を酌みかわすばかり・・なんて社交性がないんだろう!

隣を見ると 春の装いの我妻がいすに腰掛けコックリ コックリと舟をこいでいた。

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